今季最初の主要大会となるベルグレード世界室内。
男女の砲丸投げで好記録が相次いだ。
男子優勝はロマニ
世界室内初出場、世界記録保持者のライアン・クルーザー、前回王者のトマス・ウォルシュ、今季好調のコンラド・ブコビエスキ、そして南米の雄ダーラン・ロマニと3月とは思えない豪華メンバーが揃った今大会。
自己記録、実績からするとクルーザーが優勝候補筆頭だった。
一投目からウォルシュが22m29、クルーザーが22m44、二人を追うロマニも21m74を投げて三位につけた。
このままクルーザーが逃げ切りかと思われたが、そうは問屋が卸さない。
二投目、三投目と21m台で停滞したクルーザーは肘の怪我が影響したか。
一方ロマニは三投目に22m53の室内ベストを放ち一躍首位に躍り出た。
ウォルシュも中々記録を伸ばせず、六投目に22m31を投げて記録を伸ばすも銅メダルは変わらず、クルーザーは一投目の22m44がベストで銀メダル。
これまでビッグ3に苦渋を飲まされてきたロマニが初の世界タイトル獲得となった。
ロマニは2019年7月以来初めてクルーザーに土をつけた。
これまでクルーザー、コバクス、ウォルシュらの影に隠れてきた第4の男が、今年ついに逆襲か。
ユージーン世界陸上が楽しみである。
個人的にイタリアのZane Weirが近いうちに22mを超えてくると期待している。
今回もファウルでなければ22mショットになっていたかもしれない惜しい投擲が多く、まだまだ伸びしろが感じられた。
各選手コメント
ロマニ:支えてくれた皆に感謝したい。皆で獲った金メダルだ。より良い成績が残せるようコーチと一緒にこれからも頑張るよ!本当にありがとう!
クルーザー:アメリカを代表しメダルを持ち帰ることができ光栄に思う。勝ちたかったが肘の怪我がある中でこの記録を投げられたことには満足している。ロマニは素晴らしい選手だ。オレゴン世界陸上での再戦を楽しみにしている。
ウォルシュ:またメダルを持ち帰ることができて大変嬉しい。次回は違う色のメダルだと思うけどね。
疑惑のファウル判定
活況を呈した男子砲丸投げだが、その一方で現行システムについて考えさせられる場面もあった。
ニック・ポンジオの一投目やジョッシュ・アウォトゥンデの六投目に対するファウル判定である。
両者のファウルはビデオでは非常に確認しづらいファウルであり、当然抗議はしたものの判定は覆らず。
特にアウォトゥンデの六投目は22mを超えていただけに非常に惜しい投擲となった。
目視しづらいファウルの存在を考慮すると、今後は足留器にセンサーを仕込むなど対策をしても良さそうなものだが…。
とにかく選手たちが納得のいく公正な判定を下してもらいたいものだ。
女子優勝はドンモ
女子でも二人が20mオーバーを果たす素晴らしい戦いが繰り広げられた。
今季好調のオリオール・ドンモ(ポルトガル)が20m43のポルトガル新記録で優勝を果たした。
銀メダルは20m21のアメリカ室内新をマークしたチェイス・イーリー(アメリカ)、銅メダルは19m48を投げた22歳のジェシカ・スキルダー(オランダ)。
31歳のドンモ、27歳のイーリーらベテラン勢に若いスキルダーが続いたことで今後どのように勢力図が変化していくだろうか。
オランダには円盤投げとの二刀流で活躍する21歳のジョリンデ・クリンケンもいる。
ここに現世界王者・五輪王者の鞏立姣がどう加わってくるか見物である。