ライアン・クルーザー(英語:Ryan Crouser)はアメリカの砲丸投げ・円盤投げ選手。2016年リオ五輪で金メダルを獲得。男子砲丸投げの世界記録保持者(屋外23m56/室内22m82)。
テキサス大学卒、現在の所属はナイキ。
※クラウザーの方が本来の発音に近いが、当サイトでは便宜上日本のメディアで用いられているクルーザー表記を採用している。
Profile
ライアン・クルーザー(Ryan Crouser)
国籍 アメリカ合衆国
種目 砲丸投げ・円盤投げ
所属 ナイキ
生年月日 1992年12月18日
身長 201㎝(6’7 ft.)
体重 145kg(320lbs)
自己ベスト 砲丸投げ:23m56 WR(2023)・22m82i WR(2021),円盤投げ63m90(2014)
主な成績 リオ五輪・東京五輪金,世界陸上’19銀,’22・’23金
叫び声:ウァァーッ!!/Oh yeah! Come on!
来歴
Family of throwers
1992年12月18日、1984年ロス五輪の円盤投げ代表補欠選手の父ミッチと母Lisa Klapwykとの間に生まれた。オレゴン州ポートランド生まれ、ボーリング育ち。日本の室伏広治のような投擲の家系で育った。
父方の祖父ラリー・クルーザーはやり投げでグレシャム市高校記録を1953年に樹立。伯父のディーンは砲丸投げで21m06の記録を持ち、叔父のブライアンは88年ソウル五輪・92年バルセロナ五輪にやり投げアメリカ代表で出場している1やり投げの自己ベストは95m10(旧規格の世界歴代6位)。。
従兄のサム・クルーザーもやり投げ選手で、2016年のリオ五輪ではライアン、サムともに出場を果たした2自己ベストは83m33で、リオ五輪は予選34位だった。。また、サムの妹ヘイリーはやり投げで当時の全米高校記録を打ち立てた(55m21)。
キャリア初期
投擲一家に生まれ育ったクルーザーだが、投擲だけでなく陸上自体も強制されたことはなく、陸上に関しては好きなことをやらせてもらえたという。中学の時に選べるスポーツが陸上しかなく、初めのころは走・跳・投の全種目に取り組んでいた。
本人曰く「元々の素質に加え、父が早い時期にしっかり指導してくれたおかげで、投擲で成績を残していくことができた」のだそう。5年生(10歳)の時に競技を始めたが、当初は従兄のサムより上手く投げることができなかった。
記録が伸びたのは8年生から9年生(中学2年から3年生)のころだった。やり投げを諦め、砲丸投げと円盤投げに専念することに。
高校時代
オレゴン州グレシャムにあるサム・バーロウ高校に進んだクルーザーは徐々に頭角を現し始める。
2009年、高校2年の時に才能が開花。
円盤投げ(1.62㎏)で61m72の全米高二最高記録をマーク3この記録は翌年の春に従兄のサムが62m73を投げるまでオレゴン州記録であった。。
全米ユース選手権で優勝したのち、同年世界ユース選手権で砲丸投げ金(5㎏,21m56,大会新)、円盤投げ銀(1.5㎏,61m64)の成績を残した。
2010年(高校3年)は怪我によりほとんど試合に出場できなかった。
しかし一ヶ月の間怪我で競技ができなかったにも関わらず春先に砲丸投げで21m03を投げ、オレゴン州記録をマーク4この時身長201㎝,体重102㎏とまだまだ細身の身体つきであった。
2011年(高校4年)は復調し、体重も108㎏まで増え砲丸投げ(5.44㎏)で23m54の全米室内高校記録を樹立。
この記録は屋外での記録と併せてマイク・カーター5ロス五輪銀メダリスト。後にアメリカンフットボーラーとしても活躍。自身の持つ高校記録24m78(1979年)は40年以上経っても未だ破られていない不滅の記録。また、娘のミシェル・カーターは2016年リオ五輪砲丸投げにてヴァレリー・アダムス(ニュージーランド)の3連覇を阻み金メダリストに。に次ぐ高校歴代2位に位置する。
円盤投げ(1.62㎏)では72m40の高校記録を樹立し、メイソン・フィンリー62017年世界陸上ロンドン大会銅メダリスト。が2009年にマークした72m09を塗り替えた。
【砲丸投げ22m38&円盤投げ72m38】
回転へのシフト
高校三年までは回転投法ではなくグライド投法で投げていた。
2011年に投げた23m54は回転投法でマークした記録である。
クルーザー自身は成功の秘訣として「10年近くグライドで投げていたことが大きい」と語っている7https://spikes.worldathletics.org/post/ryan-crousers-top-tips。アメリカと言えば回転投げのイメージだが、クルーザーのようにグライドを下地にして回転へ移行する選手も少なくない。
クルーザーの技術はグライドをベースにしており、彼自身「まずはグライドを練習してそれから回転」と段階を踏むことを推奨している。
大学時代
高校卒業後、地元を離れテキサス大学へ進学。
大学一年の2012年、NCAA室内選手権に出場し、砲丸投げ5位、円盤投げ4位に入賞するが手の靭帯を損傷し残りの屋外シーズンを棒に振ることになった。
オフシーズンは夏頃に罹患した感染症による体調不良に悩まされ、体重が115kgから93㎏まで減ってしまう。
彼にとって最も辛いことは闘病生活ではなく、チームメイトが各地を転戦しているのを見ていることだったという。
しかしそこは高校で数々の栄光を手にしてきたエリート選手。チームメイトに追いつくため、6回の投擲を自分で計測するなど“宿題”に打ち込んでいた。
2013年、テキサスリレーに完全な状態で臨めるようインドアシーズンを見送りリハビリに専念した。屋外シーズンになると復活を遂げ、21m09の自己ベストをマーク。
NCAA選手権では念願のタイトルを獲得(20m31)。
円盤投げにも出場したが8位(59m21)だった8https://texassports.com/sports/track-and-field/roster/ryan-crouser/6070。
目標にしていたテキサスリレーでは20m43を投げ優勝。この大会での活躍が評価され、“今週のアスリート12人”に選ばれた。
当初は機械工学を学ぶためテキサス大に入学したが競技との両立が難しく、2014年に経済学に転科した。
2014年、は屋内外の大会に9回出場し、砲丸投げでは無敗を誇った。
NCAA室内選手権を21m21で優勝し9二位に4フィート近くの大差をつける圧勝だった。、テキサスリレーでは21m27を投げ二連覇。NCAA選手権屋外でもテキサス大屋外新記録(当時)21m12で制覇し二冠を達成102022年にアドリアン・ピペリが21m54を投げて更新。
ところがNCAA選手権で競技中に左足を負傷し、円盤投げは棄権した。
この年、砲丸投げで21m39、円盤投げで63m9011テキサス大の学内新記録でもある。の自己新記録をマーク。
2015年、NCAA室内選手権で20m93を投げ2位。テキサスリレーでは21m11を記録し同大会三連覇。
NCAA室内選手権は20m93で二位に終わり、指の怪我が再発したNCAA屋外選手権は砲丸投げ、円盤投げともに5位入賞にとどまった。
2016年は飛躍の年であり、ライアン・クルーザーの名を世界に轟かせた年でもあった。
本来は卒業の年だが、2013年にリハビリに専念するべく「レッドシャツ(英:red-shirt)」を行使したため、大学5年生として少しの間競技資格があった。
室内大会で21m7312この記録は2021年にトリップ・ピペリが21m74を投げるまでテキサス大記録であったの自己ベストをマークすると、NCAA室内選手権も21m28で制して自身4度目のタイトルを獲得した。
プロ入り後のキャリア
2016年、財政学の修士号を取得し、プロアスリートの道へ進む。
全米選手権の直前に21m85の自己ベストをマークすると全米選手権当日も自身初となる22m台、22m11で前年王者のコバクスをおさえ初優勝。
見事五輪行きのチケットを手にした。
リオ五輪では予選で21m59を投げトップ通過。決勝は1投目に21m78を投げたコバクスにリードを許すも、2投目に22m22、3投目に22m26と立て続けに自己ベストを更新する大投擲。
追い上げてくるコバクスは5投目、22mラインを超えるがファウルとなった。
そのコバクスを尻目に放った5投目は22mラインを大きく超えた。記録は22m5213世界歴代でも当時10位に入る好記録であった。。
32年前ソウル五輪でウルフ・ティンマーマンがマークした22m47を5㎝上回り、五輪新記録を樹立した。
新時代への転換期
五輪二連覇中であったグライド投法のトマシュ・マイェフスキ(ポーランド)を破り、回転投法でグライド投法の五輪記録をも更新したクルーザーの台頭は投擲界にセンセーションを巻きおこした。
マイェフスキは2016年をもって引退し、砲丸投げはクルーザーを筆頭に回転投法全盛の時代へと舵を切っていくとととなる。
金メダル大本命だったが…
2017年も勢いは衰えず、世界陸上の代表選考会を兼ねた全米選手権で6投目に22m65の自己新・現役世界最高をマークし、コバクスを逆転しての優勝を果たした。
しかし世界陸上本番では優勝候補大本命と見られていたが、21m20で6位に終わってしまう。
3投目に22mを超える投擲を見せたものの、ファウルだった14この判定に対しクルーザーは抗議を行ったが、認められることはなかった。。
インタビューの際は沈痛な面持ちで質問に答えていた。
【試合後のインタビュー】
実は世界陸上開幕直前にスランプに陥っていた。ウエイトでもベストを更新し、体重も過去最高に重くそれでいて身軽さも保てていたが、投げの感覚だけ狂ってしまい22mを超すのが難しくなってしまったという。
2018年は全米選手権2位(20m99)、コンチネンタルカップ5位(21m63)と好成績を残せなかった。
シーズンベストは22m53だったものの、トマス・ウォルシュが22m67をマークしたことで現役世界最高記録保持者の座を明け渡すこととなった。
2019年はシーズン序盤から好調で、3月に22m74をマークしウォルシュから現役世界最高を奪還。またこの記録は21世紀以降の最高記録でもあった。
全米選手権では上位3人が22mを超えるという、史上稀に見るハイレベルな争いを制して世界陸上代表入りを決めた(22m62)。
世界陸上ドーハでは1投目に22m36の大会新記録をマークしウェルナー・ギュンターの持つ22m23を32年ぶりに更新。
ところが同じく一投目の最終投擲者、トマス・ウォルシュが22m90を投げ勝負はいきなり大展開になった。5投目までに3人が22mオーバーという歴史上最高レベルの戦い。
6投目、それまで尻上がりに調子を上げてきたコバクスが22m91で首位に立つと、クルーザーも負けじと大投擲を見せるが、22m90でわずか1㎝及ばず。
結局コバクス金、クルーザー銀、ウォルシュ銅という順位になった。
【世界陸上ドーハ2019 男子砲丸投げ決勝】
2020年になってまだ間もない2月、室内競技会で22m60をマーク。これはランディ・バーンズの持つ世界室内記録(22m66)にあと6㎝と迫る世界室内歴代2位の記録であった。
コロナウイルスの流行に伴い春先からしばらく競技会に出ておらず、4か月ぶりの競技会となった7月11日には21m87を投げた。
その一週間後の7月18日には22m91の世界歴代3位タイをマークし、アレッサンドロ・アンドレイ、ジョー・コバクスと並んだ。
新型コロナウイルスによりしばらく競技会が開かれず、ブランクがあったにも関わらず出た大記録であった。
【クルーザー2020年投擲集】
2021年
室内世界新
新年早々、クルーザーはついに偉業を成し遂げた。
ランディ・バーンズが1989年に樹立した室内の世界記録22m66を16㎝更新する22m82をマークしたのである。
五輪二連覇に向けて視野良好なスタートを切ったクルーザー。念願の世界記録樹立。
翌週の試合でも22m66を投げ級世界記録と並んだ。トレーニングは順調。次は屋外の世界記録23m12が目標だ。
2021年、新年早々快記録が飛び出した。ライアン・クルーザーが1月24日に行われた世界室内ツアーで22m82の室内世界新記録を樹立。 従来の記録はランディ・バーンズが1989年1月20日にマークした22m66だった。今回クルーザーは3[…]
22m82
手が届くところまできた世界記録
室内世界新から4か月後の5月22日、クルーザーは「USATF Throws Festival in Tucson」に出場。
屋外では今季四戦目だったクルーザーは22m44、22m59、22m20と三投連続で22mオーバーの記録を出し好調。
四投目はファウルだったが、五投目に歴史的な一投が飛び出した。
23m01
—23m01。史上三人目の23mオーバーであり、単独世界歴代3位に浮上した。
また、23m超えの投擲はランディ・バーンズの史上二番目のパフォーマンス23m10以来実に31年ぶりの快挙だった。
この大会にはドーハ世陸金のジョー・コバクスをはじめ、トマス・ウォルシュ、ダレル・ヒルほか世界トップクラスの選手が参加していたが、クルーザーの投擲は他を全く寄せ付けなかった。
2位のジョー・コバクスも今季22m72を投げて絶好調であり、この日も22m04を投げたが、クルーザーは1m近くの差をつけて圧倒した。
クルーザーはこれまで127回以上(※同一シリーズを含む場合)22m超の投擲を行っており、無論史上一位である。
ついに出た!31年ぶり世界新
東京五輪の代表権をかけた全米選手権2021、6月18日。予選22m92でトップ通過を果たしたクルーザーは、決勝でも三投連続で22mを超えた。
そして4投目、投げた瞬間にガッツポーズが出たクルーザー。
砲丸は22mラインを遥かに超えた。記録は23m37。31年ぶりの世界新記録だ。
1990年にR.バーンズが打ち立てた23m12を25㎝も更新する離れ業。
この日を以て、名実ともに最強ショットプッターの称号を手に入れたといって間違いないだろう。
有効試技全てで22mを超え、かつ2位のジョー・コバクスの22m34をも全ての試技で上回る異次元のパフォーマンスを見せつけた。
かねてから何度も世界記録更新を口にしてきたクルーザー。ついに夢を現実にした男が次に目指すもの、それは五輪二連覇に他ならない。
東京オリンピック
8月3日の予選をただ一人22m0515予選通過標準記録は21m20。五輪・世陸を通じて史上最も高い記録が設定された。で一発通過。
他の選手が新しいサークルに苦戦するなか、余力を残した投げでも予選トップの記録をマークし優勝候補大本命としての貫禄を見せた。
8月5日の決勝では午前決勝となったが、一投目から22m83の五輪新を放ち5年前リオ五輪で自らが記録した22m52を大きく上回った。
続く二投目には22m93と伸ばし、22m86、22m74、22m54と五回連続で22mオーバー。
ライバルのジョー・コバクスが四投目に22m65、トマス・ウォルシュが五投目に22m18と伸ばすもクルーザーには届かず。
優勝を決めた六投目、201㎝、147㎏から放たれた砲丸は22mラインを大きく超えた。
記録は23m30。
6月にマークした23m37にはわずかに及ばなかったが、五輪という大舞台での23m・五輪二連覇という快挙を達成した。
砲丸投げの五輪二連覇は北京・ロンドンで優勝したトマス・マイェフスキ(ポーランド)以来史上四人目16ラルフ・ローズ、パリー・オブライエン、トマシュ・マイェフスキ、ライアン・クルーザー。
また、全ての投擲で22m・五輪記録を上回った。
六回の平均は22m866。
22m86は世界歴代7位のブライアン・オールドフィールド(アメリカ)と同じ記録。
Tojin’s note
メダリスト全員が22mを超えたのは史上初めて。順位別の最高記録も更新する五輪史上最もレベルが高い大会となった。
祖父に捧げる金メダル
競技後、カメラに向かって一枚の紙を見せたクルーザー。
GRANDPA, WE DID IT, 2020 OLYMPIC CHAMPION!
(じいちゃん、やったよ、2020年オリンピックチャンピオンだ!)
実は大会直前に祖父を亡くしていたクルーザー。感極まって涙する場面も見られた。
今わの際でもう声が聞こえなくなったんだ。だからじいちゃんに伝えたいことを紙に書いたら、応えてくれたんだ。
これは最後に見せるつもりだったが、見せる機会もなかった。彼は僕の心の中で一緒に戦っていたよ。
2022年
全米室内選手権で22m51をマークし優勝。
世界室内選手権に初出場し自身初の世界タイトル獲得を狙ったが、肘の怪我が影響し22m44にとどまる。22m53のブラジル室内新をマークしたダーラン・ロマニ(ブラジル)に敗れ銀メダルに終わった。
本人は「怪我がある中で記録には満足している」と語ったが、またしても世界選手権のタイトルを逃す結果となった。
6月下旬に行われた世界陸上オレゴン全米選考会に出場し、23m12を投げて自身5度目の優勝を果たし世界陸上の代表権を獲得。また、この試合で23m台を三回記録した。同一シリーズでの23m台三回は史上初の快挙である。
初の世界タイトル
世界陸上オレゴンに出場したクルーザーは予選一投目に22m28を投げて悠々と決勝進出を果たすと、決勝ではジョー・コバクス(アメリカ)と激闘の末五投目に22m94の大会新記録を投げて自身初の世界大会タイトルを手にした。また、この優勝により男子砲丸投史上二人目の五輪・世界陸上二冠を達成した17それまでは2004年アテネ五輪・2005年世界陸上を制したアダム・ネルソン(アメリカ)のみだった。
- 歴史的快挙は初金メダルとともに
- 世界陸上オレゴン大会では史上初めてアメリカの表彰台独占となった。また、女子砲丸投ではチェース・イーリーが米国女子史上初の優勝を成し遂げ男女の砲丸投でアベック優勝となった。2016年リオ五輪でもミシェル・カーターが米国女子史上初の砲丸投金メダルを獲得したが、その時もクルーザーは金メダルを獲得しており五輪・世界陸上ともに初制覇時は女子の初優勝とともに成し遂げられている。
2023年
2022年末頃から従来の回転投法に更なるアレンジを加えた“クルーザースライド”を考案。本人曰く「目下安定性に課題はあるが従来の技術よりも限界値が高い」と評する新機軸の投げである。
初戦のミルローズゲームで初の実戦投入を試みたものの、前半のスタティックスタートでマークした22m58が最高で新記録誕生はならず。
しかし翌週のSimplot Gamesでは一投目にスタティックスタートを用いたにも関わらず、自身の持つ世界室内記録22m82を超える23m38の世界新記録を樹立。また、この記録は屋外の世界記録23m37をも上回る記録であり、屋内外合わせて自身7試合目の23mスローであった。
ところが、後日ワールドアスレティックス(WA)の競技結果ページから世界記録の表記が抹消され、備考欄にIRM18Irregular Measurement(計測不備)と併記される事態に見舞われた。
クルーザー本人も当初「規定範囲内のはずだ」と困惑していたが、WAのスポークスマン曰く、サークルのサイズ・計測地点の高低差が確認されたことによるものだという。
- 原因は?
- 通常砲丸投のサークルは7フィート(2.135m)と定義されているが、実際には2.140mまでの誤差は許容範囲内であるとルールブックに記載されている。一方、Simplot Gamesで用いられたサークルは全ての測定箇所で規定値を上回る数値(2.161-2.188m)が確認された。また、落下地点となる投擲セクターはサークルに対する高低差が1:1000(0.1%)以下でなければならない。例えば20m地点であれば20mmまでの誤差は規定値内と見なされるが、試合後に計測したところ47mmもの誤差が確認できたという。
二度目の世界新
https://www.youtube.com/watch?v=isv0Tm0djMs&t=11s
予想外の世界記録取り消しにもめげず、世界陸上での二連覇を目指すクルーザーは5月27日のロサンゼルスグランプリに出場。
一投目23m23、二投目23m31、三投目22m94とハイアベレージの投擲を連発。そして四投目、春先に取り入れたクルーザースライドが火を噴いた。
砲丸は大きな弧を描きセクターを構成する壁のすぐ手間に落下。記録は23m56の世界新記録であり、屋外では自身二度目の世界記録更新となった。
従来の記録を19センチ更新する特大スローに、クルーザーの世界陸上連覇は堅いものとなった。ところが大会直前、思わぬ悲劇に見舞われる。
絶対王者のプライド
投擲練習を終えた翌日のこと。起床するとふくらはぎに張り・痛みを感じたクルーザー。ケアを施しても効果が薄かったため精密検査を行ったところ、血栓が二か所見つかったのだ。
医師や医療チームと相談の結果、世界陸上出場はクルーザー本人と家族の判断に委ねられることに。
彼の下した決断は「出場」。ブダペストに発つ直前の出来事だった。
結局大会当日まで満足な練習が出来なかったクルーザーだが、予選では雨により試合開始が一時間遅れるというアクシデントをものともせず一投目に21m48を投げて全体7位で予選通過。
予選で22m37のSBをマークしたダーラン・ロマニ(ブラジル)や好調のゼイン・バイアー(イタリア)、さらには同国最強のライバルであるジョー・コバクスの存在を加味すると、23m56のSBを持つクルーザーとて二連覇への道は険しいものと思われた。
ところが、決勝はクルーザーの一人舞台となった。
一投目に22m63を投げて首位に立つと、二投目に22m98の大会新をマーク。三投目は22m28に留まり、四投目五投目はサークルに留まり切れずファウルするという彼にとっては珍しい光景もあった。
練習不足に加え、今大会の男子砲丸投げは2015年北京大会以来の同日決勝で行われており、さらに雨による順延のため予選・決勝のインターバルが一時間短くなったことによる疲労の影響もあったのかもしれない。
しかし一方でそのことに助けられた面もある。最大のライバルと見られていたコバクスが決勝では精彩を欠いていたのである。天候不良による順延と同日決勝は34歳のコバクスに厳しい戦いを強いることとなった。
結局コバクスは最後まで振るわず銅に終わる。五投目に大会記録ラインに触れるファウルがあったレオナルド・ファブリ(イタリア)もクルーザーを逆転することは叶わず。
優勝を決めた後の六投目、観衆に手拍子を求めたクルーザー。その日一番の雄叫びとともに放たれた砲丸は大会記録ラインを大きく超えた。
記録は23m51。自身の世界記録にあと5センチと迫る大投擲に観衆は大きく湧いた。状態が心配されたクルーザーだが、一度もトップを譲ることなく圧勝し二連覇の美酒に酔いしれた。
なお、銀メダルのファブリ(22m34)との差・1メートル17センチは史上最大の大差となった。
体格
代々投擲一家なだけあって、201㎝,147㎏19ちなみに世界陸上2019での砲丸投げファイナリストの平均は191㎝,130㎏。と立派な体格のクルーザー。従兄のサムも201㎝,118㎏とやり投げ選手としては非常に大柄である20やり投げで2mを超える選手は非常に少ない。。
叔父のブライアンは「みな遺伝的なことばかり言うけど、この子達(サムやライアン)は練習熱心なんだ」と才能ばかりではなく本人の姿勢も成功の要因だとしている。またサムの父ディーンも同様のことを話している。
筋力
ウエイトトレーニングはオフシーズンで週6日行う。
スクワットは725ポンド(約328㎏)。フロントスクワットなら205㎏を5回(注1)。ベンチプレスのMAXは550ポンド(約250㎏)で、440ポンド(約200㎏)なら5回、225ポンド(約100㎏)なら50回連続で挙上することができる。パワースナッチが160㎏。パワークリーンは181㎏(注2)。
(注1・2:データは2016年当時のもの)
クルーザーのウエイトメニュー
月曜:朝はオリンピックリフト21クリーン、ジャーク、スナッチを指す、昼は高重量ベンチプレス
火曜:高重量スクワット
水曜:オリンピックリフトとボディビルリフト22ベンチプレス、スクワット、デッドリフトのこと。いわゆるビッグ3を低負荷・高レップで
木曜:オリンピックリフト、高重量ベンチプレス
金曜:オリンピックリフト、スクワットを何種類か
土曜:リカバリーボディビルリフト
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身体能力
40ヤードダッシュでは4秒8を切ることができる。ちなみにアメリカンフットボールではフルバックもしくはディフェンシブエンドの平均タイムが4秒823https://en.wikipedia.org/wiki/40-yard_dash#Records。
立ち投げのベストは70フィート(21m35くらい)であり、立ち投げに最も力を入れていた2019年の記録である(本人談)。
技術面
ファーストターンを非常にゆっくり回る。右足を高い位置から振り下ろすのではなく、低い位置でつくため24少し大げさに言うと、他の選手が「跳んで」いるならクルーザーは大股で足を「置いて」いる。、オーバーストライドになりにくく安定性が保たれている。
本人は「タメ」を意識しているようで、ファーストターンでどれだけ我慢して身体を捻るかがカギのようだ。
一方セカンドターンは素早く回り込んでいるので投げの局面での加速が他の選手に劣っているというわけではない。また、長身選手にありがちなスタンスの狭い投げではなく、パワーポジションでもゆとりを持っているのが特徴である。
とにかく高いレベルでの安定感が武器の選手で、“砲丸版室伏広治”といっても差し支えないかもしれない。ただし、長身選手の宿命かサークル前方左側にファールしてしまうことがごく稀にある。高速回転の選手がするような体勢を崩してのファウル25ニュージーランドのトマス・ウォルシュがよくこの種のファウルをする。逆にクルーザーがするようなファウルはしない。はまずしない。
回転技術に関しては様々な選手から少しずつ参考にしているだけで、特定のロールモデルはいないという。その理由に自身が大柄で、ジョー・コバクスなど小柄な選手とは技術的な差異が大きいということを挙げている。要するに色々なところから集めアレンジしたハイブリッドなフォームなのだ。
技術面での相談は父ミッチとジョン・ダガタコーチらと行う。が、頼り切りというわけではなく、彼自身でもよく考えた上で磨きをかけているようだ。
投げる方向も安定している。砲丸が中央~やや左寄りに落ちることが多く、世界陸上ドーハ大会の6投目のように右に落ちることは少ない。この異常なまでの安定感は彼が言う通りグライドの恩恵によるものなのだろうか。つくづくグライドと回転をいいとこどりしたような技術だと感じる。
本人曰く「自分の最適な投射角は36度~40度」。初速は時速32、33マイル程度だという。
歴代最多22m超え
超一流プッターの目安となる22mスローはクルーザーが80年代の選手を含めてもダントツで多い。歴代でも10回を超えれば多いほうなのだが、クルーザーに至っては179回26うち室内8回も記録している(2022年現在)。
2位は最大のライバル、トマス・ウォルシュの26回27うち室内一回。この突破回数だけ見ても安定感の高さがうかがい知れる。
【参考:Why it’s almost impossible to shot put 24 meters】
食事メニュー
アメリカ人でも辛い
食事は一日に5回もしくは6回に分けて取る。間隔は2、3時間おき。朝食はシェイク2杯に加え、ホールミルク28全乳、すなわち普通の牛乳のこと。をかけたオートミールにピーナッツバター、プロテイン、木の実やグラノーラを混ぜたものを普段食べている。液状食品を摂取するのは、後の昼食や夕食に余裕を持たせるためだ。
「昼飯でようやくまともな食事にありつけるが、既にペコペコになっている」
らしく、ここから炭水化物摂取に努める。パスタ、マカロニチーズ、パン数切れ、白米一杯分。タンパク質は食事ごとに1ポンド(450グラム)摂取することを心掛けていて、赤身肉も時折食すが、大抵は鶏肉か魚だという。
夕食もほとんど内容は変わらないが、昼飯時ほど空腹でないので「自分が食べたい量以上に無理やり詰め込んでいる」。果物や野菜もいくらか加える。
一回の食事量は最高5ポンド(2.2㎏)で、小柄な幼児くらいの量がある。ウエイトトレーニングで追い込んだ後、空腹で仕方がなかった時の記録だ。
ちなみに好きなメニューはマカロニチーズ。炭水化物と脂質が豊富で、増量にもってこいなのだとか。ピザも好物。
野菜は苦手なのでスムージーにして摂取することが多いのだとか。
「ビール何本くらいだったら翌日も動けるくらい余裕がある?」との質問には「バドライトみたいな軽めのものだったら12本(12本ボックスで売られている)は行けるね。翌朝トレーニングしてもへっちゃらさ」。
リオ五輪の後、普段摂取する5000~6000キロカロリーを維持することができていなかったそうだ。砲丸投げの選手と言えばその体格から食べることが好きなのだろうと思われがちだが、必ずしもそうではない。
「またコレか」ってね。
このたゆまぬ“食事トレーニング”の甲斐あって、クルーザーは10年で50㎏の増量に成功した。
世界記録への想い
クルーザーはUSADA(全米反ドーピング機構)によるドラッグテストを月4回受けている(2018年当時)29RYAN CROUSER BUILDING UP TO A WORLD RECORD ATTEMPT IN 2018:https://www.dyestat.com/gprofile.php?mgroup_id=44531&do=news&news_id=504980。その内二回は血液検査と尿検査が含まれている。言うまでもなく陽性反応を示したことがないクリーンな選手である。
世界記録を出すために必要な初速を記録したこともあったが、角度が低すぎたため記録にはつながらなかった。しかし「ポテンシャルはあるということだ」と前向きに考えている。
彼の最終目標は砲丸投げでの世界記録で、度々そのことに言及している。バーンズの世界記録を抹消すべきかどうかを質問された際、以下のように語っている。
このようにクルーザーの発言からは実質的な世界記録ではなく、バーンズの記録を超えたれっきとした世界記録が欲しいという強い意志を感じさせるものばかりだ。
かつて高校記録を出した円盤投げとの“二刀流”も考えたが、「(砲丸で)限界の限界まで突き詰めて、そしたら円盤を投げられるかも。2種目で世界を獲るのはあまり現実的ではない」と可能性を示唆するに留めている。
2022年、アメリカオレゴンで開催される世界陸上。地元オレゴンでの大舞台に胸を躍らせている。
クルーザーは目標記録をいつも浴室の鏡に書く。最初はsticky notesに、それからホワイトボードに。(2018年の)11月下旬、初めて“23m13”とペンで書いた。
愛用道具
クルーザーはナイキと契約を結んだプロアスリートであり当然シューズもナイキ製のものを使用している。世界陸上ドーハでは「ZOOM SD4 White」を着用し銀メダルを獲得した。
23m37の世界記録の際は新品のシューズとサークルの相性が良くないと判断し、以前使っていた古いシューズで投げたという。
アメリカのKAGED社とスポンサー契約を交わしておりKAGED製のプロテインを愛飲している。ただ契約以前から信頼性の高さにより愛用していたという。
競技に用いる砲丸はニシ・スポーツ30ニシ製の砲丸は世界大会で数多くのメダリストに用いられているの129mmのものを使用しており、東京五輪で優勝した際にはニシ・スポーツから砲丸を贈呈された。
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人物・エピソード
必要とあらば入念なプランを組み上げ、スポーツ・学業問わず目標達成に腐心するストイックかつ非常に聡明な人物であり、日本で言う“文武両道”の鑑のような選手である。また、手先も器用で投擲に必要な器具を自作することもある。
・やり投げから転向した頃は祖父の家で練習することもあった。
・ある日練習で生垣を荒らしてしまい、挙句の果てに高く上がった砲丸が小屋の屋根を貫通して壊してしまった。翌日、修理をする羽目になったという。同年、1㎏の円盤を57m投げて金網を飛び越し周囲を驚かせたこともあった。
・幼少期は祖母の家でサムと遊ぶ水曜を心待ちにしていた。
・テキサス大学を志望した大きな理由が、オレゴン大学には機械工学のコースがなかったから。また、雨が少ないのも利点だという。
・大学2年の時点でマック・ウィルキンス(円盤投げ金メダリスト)は「順調に成長すれば4,5年で世界記録を破る可能性がある」とクルーザーの潜在能力を評価している。
・大学時代のコーチMario Sategnaは「あまり口数が多いわけではないが、それゆえ一風変わったリーダーシップを発揮している。皆彼に注目する。投げている時は渋滞でも起こしているような感じだ。」と評している。
・財政学の修士課程は通常2年のところ、五輪出場を目指したために1年短縮して取得するという荒業を成し遂げた。毎日教室で5~6時間講義を受け、2~3時間自習してようやくトレーニングに取り掛かることができた。「授業の合間に朝飯や昼飯を食べ歩きするのが上手くなったよ」と語っており、その忙しさがうかがい知れる。また、これらの経験を踏まえて大学進学を目指す高校生アスリートには“将来を見据えた上での学位取得”を強く推奨している。
・大学時代アメリカンフットボールをプレイしていないにも関わらず、ウエイトの数値に目を付けたNFLからオファーを受けたことがある。
・技術面で特定のロールモデルはいないが、ティンマーマンのソウルでの投擲は文字通り何千回も見たという。
・当初は短距離や跳躍のほうに興味を持っており、三段跳で高校の州チャンピオンになったことがある。
・2020年4月、移動式サークルをDIYで製作し、その様子をインスタグラムにアップした。
・同国の元女子棒高跳選手メーガン・クラークと交際している。
学業成績も一流
世界ユース金だけでなく生徒としても優秀だった。
高校卒業に際して400人の同期を代表し卒業生総代も務めた。高校時代はA評価(日本で言う通知簿の5)以外を取ったことがなく、全米優等生協会に入会を認められたほど31時間を効率的に使うマルチタスクのスキルで好評価を得た。。
バスケットボールも得意で、大学ではGPA4.0を取得した。
趣味・嗜好
趣味は釣りに出かけること。クルーザーは余暇を全力で楽しむことを重視しており、「余暇は陸上から離れることが大事」という32注釈3に同じ。。また、カヤックやハイキングも嗜む。
従兄であり良きライバルでもあるサムとは釣りで競うことがあるが、お互い自分の方が上手いと自負しているようだ。
・コロンビアリバーにて、従兄のサムと釣りで勝負して3m超・180kgのチョウザメを釣り上げたことがある。また、6歳の時は6ポンド33ちょうど中学女子の砲丸と同じ重さである。のコクチバスを捕まえたこともある。
・バス釣りが好きでコンテストにも参加することがある。種類にもよるが釣った魚を料理することもある34Youtubeコメント欄の本人談より。
・旅行の際は動きやすい恰好を好む。
・帽子を被って競技することが珍しくなく、東京五輪決勝では5投目まで帽子を被ったまま投擲していた。
・髪形や髭のスタイルもよく変えている。
・数字に強く、数学や数独が好き。将来はファイナンシャルコンサルタント業に携わりたいと考えている35https://spikes.worldathletics.org/post/did-you-know-ryan-crouser?utm_source=iaaf.org&utm_medium=gridclick。
・競技会の日は少なくとも午前11時まで寝ることにしている。また、試合の朝はオレンジジュースを2㎏弱飲む習慣がある。大きな試合の後にとる食事は「ひどいもの」ばかりだという36高校時代の話。現在は異なる可能性がある。。
週の練習時間は35時間37APPETITE FOR DESTRUCTION: https://spikes.worldathletics.org/post/ryan-crouser-wants-the-world-record。「Training is a full-time job(トレーニングはフルタイムの仕事だ)」というのが口癖。
陸上に限らず他のスポ―ツからも学ぶことが多いといい、例えばムエタイや柔術の動画を参考に技術やトレーニング内容に変化・改良を加えたこともある。
主な競技成績
年 | 大会 | 種目 | 成績 | 記録 (m) | 備考 |
2009 | 世界ユース選手権 | 砲丸投げ(5㎏) | 優勝 | 21.55 | 大会新 |
世界ユース選手権 | 円盤投げ(1.5㎏) | 2位 | 63.33 | ||
2016 | 全米選手権 | 砲丸投げ | 優勝 | 22.11 | 初の22mスロー |
リオ五輪 | 砲丸投げ | 優勝 | 22.52 | 五輪新 | |
2017 | 全米選手権 | 砲丸投げ | 優勝 | 22.65 | 二連覇 |
世界選手権 | 砲丸投げ | 6位 | 21.20 | ||
2018 | コンチネンタルカップ | 砲丸投げ | 5位 | 21.63 | |
2019 | 世界選手権 | 砲丸投げ | 2位 | 22.90 | 自己新 |
2020 | 全米室内選手権 | 砲丸投げ | 優勝 | 22.60 | 世界室内歴代2位 |
2021 | American Track League 1 | 砲丸投げ | 優勝 | 22.82 | 室内世界新 |
全米五輪選考会 | 砲丸投げ | 優勝 | 23.37 | 世界新 | |
東京五輪 | 砲丸投げ | 優勝 | 23.30 | 五輪新 | |
2022 | 世界室内選手権 | 砲丸投げ | 2位 | 22.44 | |
全米選考会 | 砲丸投げ | 優勝 | 23.12 |
関連動画
パフォーマンストップ15(屋内・屋外)
年 | 大会 | 種目 | 成績 | 記録 (m) | 備考 |
2021 | 全米選手権 決勝 | 砲丸投げ | 優勝 | 23.37 | 世界新 |
2021 | 東京五輪2020 | 砲丸投げ | 優勝 | 23.30 | 五輪新,二連覇 |
2021 | Prefontaine Classic | 砲丸投げ | 優勝 | 23.15 | |
2022 | 全米選考会 | 砲丸投げ | 優勝 | 23.12 | 5回目の優勝 |
2022 | Prefontaine Classic | 砲丸投げ | 優勝 | 23.02 | |
2021 | USATF Throws Festival | 砲丸投げ | 優勝 | 23.01 | 世界歴代3位(当時),スタジアムレコード |
2021 | 全米選手権 予選 | 砲丸投げ | 1位 | 22.92 | 大会新 |
2020 | American Track League Meet #2 | 砲丸投げ | 優勝 | 22.91 | 世界歴代3位タイ(当時),自己新 |
2019 | 世界選手権ドーハ | 砲丸投げ | 2位 | 22.90 | 大会新,世界歴代5位タイ(当時) |
2021 | Memorial Borisa Hanžekovića | 砲丸投げ | 優勝 | 22.84 | |
2021 | American Track League 1 | 砲丸投げ | 優勝 | 22.82i | 室内世界新 |
2019 | DLローザンヌ | 砲丸投げ | 優勝 | 22.81 | |
2022 | Puerto Rico International Athletics Classic | 砲丸投げ | 優勝 | 22.75 | |
2019 | Beach Invitational | 砲丸投げ | 優勝 | 22.74 | |
2019 | 70th Hanžeković Memorial | 砲丸投げ | 優勝 | 22.74 |